思い 想い
どちらも「おもい」と読むこれら2つの言葉。
・「遙かなるスピードへの想い」
・「我思う故に我在り」
何かに対する意思を感じさせたり、有名な名言などにも多数使われている「おもい」。
より伝わりやすくするにはどちらを使えばいいのだろう?
「思い出」と「想い出」
「思いやり」と「想いやり」
どちらが正しいのだろうか?どちらがより伝わる表現なのか?
実は、『何かを「思った」後でないと「想う」事はありえない』のだ
これはどういう意味だろう?
今回は、この2つの言葉に託された「おもい」を読み取っていくことにしよう。
「思い」について
【辞書的な意味】
実は、「思い」も「想い」もほぼ同じ意味だ。
「思い」と「想い」の意味
・感じること
・心に浮かべること
など、主な違いは使い分け方だけなのだ。
次に、「思い」のイメージを見てみよう。
「思い」にはプラスとマイナス、両方のイメージがある。
「想い」について
「想い」は、「思い」の子供だ
とイメージするとわかりやすいかもしれない。
以下のように、「想い」とは「思い」の中に含まれているものだ。しかしそれは「思い」のポジティブな面を色濃く受け継いでいる。
また、「想い 想う」は常用漢字ではない。
つまり、公の文書で使用することはあまりないと思われる漢字なのだ。
ポジティブな意味が強いので、この感情を伝えたい!と感じているときに使うのがいいだろう。
早速、両者の具体的な使い方を見ていこう。
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決定的な使い方の違い
それでは、この違いがどう活きてくるのか、例を挙げながら確認していこう。
まずは「想い」から
野球選手を目指すとき、「野球選手になりたいという想い」と言ったりするが、なりたくないもの、例えば「病気、 完璧主義、 優柔不断」などには「想い」は使わない。
それを考えると、ポジティブな気持ちになり、積極的に関わっていきたいという「想い」が湧いてくる。
相手の「相」が入っているのが「想う」。
なので、自分以外の誰か、何かがなければできない考えのこと。それが、「想い」の特徴だ。すると、以下のような表現がわかるようになる。
「御社への想いは本物です!」
「御社で〇〇を達成したいという想いがあります!」
面接で、または履歴書で熱意を伝えたいときはこちらを使うといいだろう。
「あなた(相手)がいるから私はこんな感情(心)を持つのだ!」ということを強く伝えたいときに、「想い」を使うと効果的なのだ。
また、「構想を練る」のように、何かの手順を考えるときにも「想」を使う。相手、または物のことを「強く心にイメージしたい」というときに使うのだ。
自分しか見えなくなっている、または何かに熱中しすぎていて、良い意味でも悪い意味でも視野が狭くなっている状態で使う。それが「想い」だ。
では、「思い」はどうだろう?
熱い想いを伝えるときに
「御社への思いは本物です!」というのは少し不自然に感じないだろうか?
「思い」は「自分の感想」を表すときに使われる場合が多いのだ。
例
・相槌を打ったり(自分もそう思います)
・結果に対して(そうなると思った)
ポジティブな意味にもネガティブな意味にも使える
「とてもいいと思います!」 ← ポジティブ +
「悲しいと思います…」 ← ネガティブ -
「想い」の場合はネガティブな意味で使われることは殆ど無い。
また、「思い」は常用漢字だ。
もしも「想い」と「思い」を迷ったら「思い」を使えばいい。公文書などでも使用できるので、間違いだとは言われないだろう。
よく見る表現
「思い出」と「想い出」
「思いやり」と「想いやり」
について見てみよう。
ここでも、意味がポジティブかどうかを見るだけで、だいぶ理解が変わっているはずだ。
(辞書に書いてあるわけではないので、あくまでイメージとして捉えてほしい)
「思い出」 → 良くも悪くも、記憶に残っていることをイメージしている
「想い出」 → 「思い出」の中でもポジティブなもの
「思いやり」 → 積極的であるなしにかかわらず人に親切にすること
「想いやり」 → 積極的に人に親切にすること
無意識的にするのが思いやり。
意識的にするのが想いやり。
普通に行動しているだけで、自分は親切にしているつもりはないけど、人からはよく「思いやりがあるね」と言われる。そんなときに使うのが「思いやり」
逆に、「人に親切にしよう!」というポジティブな気持ちで人に尽くすのが「想いやり」。などのように使い分ければ効果が増すだろう。
「思い」は「想い」の起点
自分はこう思った。だからこういう想いが生まれた。
何かを「想う」ときというのは必ず「思い」も生まれている。「あの人のことを想う」ということは、その人に対してなにか「思った」事があるのだろう。感情を強く表す「想う」の前に、自分でしっかりと何かを「思って」いるはずなのだ。
まとめ
最後に両者の意味をまとめてみよう。
思い
・プラスにもマイナスにも考えるときに使う
・ポジティブで積極的な「おもい」には使わない
・常用漢字である
・迷ったら「思う」を使う
想い
・ポジティブで積極的な意味で使う
・「思い」よりも使う機会が少ない、公文書で使わない