それがあれば、感情に振り回されることもなかった。
それがあれば、どんな困難でも笑い飛ばすことができた。
セロトニン。
ひょっとしたら、この文章を読むのも、少しおっくうに感じているかもしれない。
自分だけが悪いのではないか?根拠はないが、とりあえず悪い方に考え、それが絶対的に正しいことを証明しようとする症状。無気力さに拍車がかかり、ストレスにもめっぽう弱くなる。
身に覚えはないだろうか?
それが不足すれば、最悪、自死に至ることもあるという。
今回は、セロトニン。不足するとどうなるのか?増やすことで得られるメリットは?そして、その具体的な増やし方をご紹介しよう!
セロトニンとは何なのか?
セロトニンとは、よく「幸せホルモン」などという呼ばれ方をする。体中の余計な緊張を取り除き、心身をリラックス状態にいざなう。いわゆる、「幸せ」と呼ばれる状態を実現してくれる。
しかし、セロトニンは、単にリラックス状態をもたらすだけのものではない。
ここでは、セロトニンの生産場所と、その効果を見ていこう。
セロトニンは、主に3つの場所で作られている。
腸内(約90%)
血液中(約8%)
脳内(約1~2%)
「セロトニンは脳から出るもの」と思われていたかもしれないが、実は、圧倒的に腸内で作られているものの割合が大きい。
脳内で作られているのは全体の約2%ほどしか無い。
セロトニンは、人間の体内には全部で約10mgしか存在しない。脳で作られているのは0.2mgだけなのだ。
では、セロトニンの効果はどうだろう?どこで作られても、同じように気分を良くする効果があるのだろうか?
・腸内で作られるセロトニンは「整腸効果」
消化を助ける働きをする。
・血中のセロトニンは「止血作用」
出血を止める働きをする。
・脳内のセロトニンは気分を良くするように働く。
腸で作られたセロトニンが脳に届けば気分はとても良くなるだろう。しかし、腸で作られたセロトニンは、脳に届くことはない。なぜなら、脳には「関門」があり、腸からのセロトニンはその関門を通れないからだ。
せっかく腸で作ったセロトニン。その全ては、腸で使われてしまうのだ。
では、「腸を大事にしても気分は良くならないじゃないか!」となるが、そんなことはない。
脳と腸は密接に関係していて、
「腸の調子がいいと、脳の調子もいい」
「腸の調子が悪いと、脳も調子が悪くなる」
ということがわかっている。
腹を下したとき、気分良く感じることがあるだろうか?
ないはずだ。
つまりこういうことだ。
「腸から出たセロトニンは腸の調子を整える。結果、脳の調子も良くなり、気分が良くなる」
腸という器官は、脳とは別に「自分で考えることができる器官」なのだ。
どういうことかというと、消化器官に対しては、脳ではなく、腸が命令を出しているということだ。「あれを消化しろ」という命令は脳ではなく腸が出している。
緊張すると腹を下したり、何か大きな挑戦の前にお腹が痛くなったりした事があるかもしれない。それは、脳ではなく、腸が出している命令なのだ。
なので、気分をよくする方法としては、脳から出るセロトニンの量を増やすこと、そして腸の具合を良くすること。この2つが重要になる。
ここでは主に「脳から出るセロトニンの量を増やす方法」を見ていく。(腸を整える方法はこちら。)
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セロトニンが減るとどうなるか?
まずはセロトニンが減ることのデメリットを見ていただこう。セロトニンが減る本当のデメリットを理解することで、納得して行動に移れるようになり、そしてそれを継続しやすくなるだろう!
ここからは、自分に当てはまる症状、心あたりがないかどうか考えながら見ていってほしい。
セロトニンが減る原因
大きな原因は、「過剰なストレス」「長時間の緊張状態」などだ。
強いショック、急激な環境の変化、被災、離婚。こういったストレスを受け続けると、それを処理するためのセロトニンが不足しがちになってしまう。
また、「なにもしないこと」も原因の一つであると考えられる。
人間は、なにもしないでいると、不安になったり、心配事を探したりする傾向があることが、実験で明らかになっている。何もしない状態を続けていると、無気力でいるのが当たり前になり、やる気の出し方がわからなくなるのだ。
筋力の低下
あなたは猫背になっていないだろうか?
セロトニンには、筋肉の動きをサポートする役割があるのだ。筋力が低下してきたら警戒したほうがいいかもしれない。
老化現象
急に「老けてきたなあ」と感じたことはあるだろうか?
セロトニンが減ると、顔の筋肉も衰退し、老化を早めることがわかっている。
鎮痛作用
セロトニンには、痛みを和らげる効果がある。
「筋肉痛だったけど、それでも運動しているうちに気にならなくなった」という経験がないだろうか?
やる気が起きなくなったときに、体のどこかが痛みを感じたとしたら、セロトニンが不足しているのかもしれない。
痛みに過剰反応するようになり、何か深刻な病気ではないかと考え、ますます不安になることもあるかもしれない。すると、「強迫性障害」などが発症する可能性もある。
睡眠の質
あなたが眠っている間、体では何が起こっているのか?
眠っているときは、セロトニンではなく「メラトニン」というホルモンが働いている。これには、体を休ませ、質のいい睡眠を提供するという役割がある。
メラトニンとセロトニンは密接に関係している。セロトニンが不足すると、メラトニンの分泌も減ってしまうのだ。これにより、夜なかなか眠れなかったり、「あまり寝た気がしない」という状態になる。つまり「体内時計のコントロール」がうまくいかなくなってしまうのだ。
うつ病などの病気
「何をしてもうまくいかない」
「何かをしてうまくいったところで何の意味があるのか?」
そういった無気力感に襲われることがある。
セロトニンが不足すると、何かをしても空振りをした感覚が抜けない。充実感を感じられない状態が続く。そして無気力になり、うつ病を発症してしまうというわけだ。
自殺願望も、ここからやってくるという。
その他、セロトニンが不足すると「パニック障害」や「強迫性障害」なども発症することがわかっている。
主なデメリットはこういったものだ。
ではいよいよ、具体的なセロトニンの増やし方について見ていくことにしよう!
セロトニンの増やし方10選
中には簡単なものもあるが、難しいものもある。全部いっぺんにやろうとせず、難易度の低いものを1つずつ試しながら、自分にあった方法を見つけてみよう。
(食事を通してセロトニンを増やす方法はこちら。)
1 朝日を浴びる
一番いいのは、朝日で目覚めることだ。明るさを認識することで、セロトニンが分泌されるようになり、段々と行動的になっていく。長い時間浴びる必要はない。気分が変わってきたと感じたら行動に移ってもいいだろう。
あなたは夜型の生活をしてはいないだろうか?
可能であれば改善した方がいいだろう。
朝の気温が低いときは、窓を締めたままでもいいので、朝日を浴びることをおすすめする。
2 運動
一定のリズムで体を動かすことが、セロトニンの分泌に効果があることは、あまりにも有名だ。が、問題は、そのリズム運動をする気力が湧くかどうかだ。
古来より人は、長い距離を歩いてきた。日常生活でウォーキングが習慣になっていたのだ。食べ物のある地を求め、また狩りに出るため、毎日のように長い距離を歩かざるを得なかった。
リズム運動の代表格「ウォーキング」。古代の人間にとって、リズム運動は生活の一部だった。それが人間の体にとって当たり前になっていたのだ。
ウォーキングもおすすめだが、部屋でできるもののほうが長続きし易いので、ここでは「踏み台昇降」をご紹介しよう。
運動は、心地いいと感じるまで続けるといい。きつい、疲れた、と思うまでする必要はない。しかし、調子がついてきて、「もっとやりたい!」と思えるようになったら続けてみてもいいだろう。
3 手を握ったり開いたりする
その場にいて、座っていてもできる。前腕が鍛えられる、握力が強くなる、などのメリットも有る。
グーパー、グーパーを繰り返してみよう。前腕部分が熱くなるのがわかるはずだ。疲れたらやめていい。やってる最中に「何の意味があるんだろう…」とは考えないようにしよう。運動をすることが目的なのだ。
4 筋トレ
限界ギリギリまで筋トレをすると気づくことがある。とんでもなく明るい気分になるのだ。
例えるなら、管に詰まっているものを思いっきり外に押し出してしまう感覚。「もう無理だ!」と思ったところからもう1,2回やってほしい。詰まっていたセロトニンがドバっと押し出されるのがわかるはずだ。
管理人の経験では、体幹を鍛える運動のときに強くそれを感じる。腕立て、腹筋、背筋、スクワットが効果的だ。やる気が湧いてきたら、騙されたと思ってやってみるといい。
もちろん無理は禁物だ。やる気が湧いたらでいい。
5 よく噛む
あごをたくさん動かすことで、セロトニンが増えることがわかっている。セロトニンが不足しているときは、たくさん噛むのも億劫かもしれないが、「セロトニンを増やすため」と思って噛んでほしい。ガムなども、あごの運動には効果的だ。キシリトール入りのものを噛めば、虫歯予防もできて一石二鳥だろう。
何か作業をするときに、ガムを噛みながらする手もある。
6 笑顔を作る
笑顔を作るというのは、非常に効果的な方法ではあるのだが、果たして、セロトニンが不足している状態で大声で笑うことが可能だろうか?普通は無理だ。
自分には挙げられない重さのダンベルを持って運動しようとしているようなものだからだ。
落ち込んでいるときに満面の笑顔を作ることは難しい、表情筋が固くなっていて、動かすだけで力を使ってしまう。
しかし、微笑むことならできる。ほんの少しでいい。口角(口の両端)を少し上げて微笑んでみるのもいいだろう。もちろん、可能なら大笑いしよう!
心からの笑いは、ガンの予防にもなるという事実がある。面白い本や動画などを探してみてもいいだろう。
7 腹式呼吸
手順を説明しよう
1. 肺の中にある空気をすべて吐き出す
(少し苦しいと思うところまで吐いてみよう)
2. 3~4秒かけてお腹を膨らませながら空気を吸う(横隔膜を下げる感覚)
(「吸う」と言うよりは「空気が入ってくる」感覚が強いだろう)
3. 7秒ほどかけて空気を全部吐ききる
(吸う時間よりも長い時間かけて吐くのが重要だ)
長時間続ける必要はない。5分ほど繰り返せばセロトニンは増える。その後は通常の呼吸に戻そう。
8 CDを聞く
おすすめはこういったものだ↓
何もせずただ聞いているだけでいい。一番簡単な方法かもしれない。そして、少し落ち着いてきたなと思ったら以下も試してみるといい。
管理人は今でもこのCDはよく聞いている。作業中や、不安を感じた夜に聞きながら眠るといいだろう。
9 動物と触れ合ってみる
実際に動物と触れ合うことで、セロトニンが活発に分泌されるようになったという事実がある。
しかし、動物は簡単に飼えるものではないので、動物と触れ合ったりしている動画を見るのもいいかもしれない。おすすめは以下の様なものだ。
10 感情を開放する
大声で笑う、大声を出す、大泣きする。
これらは何かしらの感情が生まれたときにする効果的な感情の発散方法だ。
感情というものは「開放しすぎた」とき、または「抑圧しすぎた」ときに問題が生じる。
いつも大声で泣いて(開放)いたら、人は近づいて来なくなるだろう。悲しいことを我慢(抑圧)しすぎても、うつ病になるだろう。ちょうどいい具合に発散、抑圧したほうが、人間はバランスよく生きられる。
もし、抑圧しすぎて調子が悪くなっているなら、一人カラオケなどで、大声で歌ったり泣いたりするのもいいだろう。
風呂で顔を沈め、大声で叫んでみるのもありかもしれない。少しずつ、開放するクセを付けてみよう。腹がたったら拳を強く握ったり、辛いことがあったら顔に力を入れてみたり、嬉しいことがあったらガッツポーズをとってみたり、そういうことでも十分なのだ。